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H社から新しく発売されたスポーツカーNSX
2016年に日本を代表とする企業のH社から、新しくスポーツカーNSXが発売されました。
H社のNSXは、かつて1990年から2006年まで国産スポーツカーとして発売されていました。
今回、新たに開発されたスポーツカーのNSXが登場しました。
このNSXの発表で、新しく開発されたNSXがアメリカ生産であると聞いたとき驚きを隠せませんでした。

H社の他の自動車であれば、さほど驚きもしなかったのですが、ことが日本を代表とする自動車メーカーであるH社の最高級スポーツカーNSXが、アメリカ生産など考えられないことです。
日本のH社の技術者たちは、H社の最高級スポーツカーのNSXをアメリカでで生産することに異論がなかったのでしょうかと思います。
日本で働くH社の技術者たちの本心は、最高級スポーツカーのNSXの日本での生産を望んでいたのではないでしょうか。
私は、そう思いたい
もし、日本で働くH社の技術者たちに最高級スポーツカーのNSXを誇りをかけて日本で製造を望まないとすれば、恐らくH社という自動車メーカーは誇りも何もない企業になるでしょう。
本田宗一郎が生きていたときの理念や誇りをもたない利益至上主義の企業に成り下がるのなら、何れ外国企業に乗っ取られ、衰退していくことになることは間違いありません。
今のH社の社長が誰だか知りません(知りたくもありません)が、日本で働いている自社の社員の誇りと名誉のある仕事をさせないのは、社長失格しかいいようがありません。
マン島レースの制覇、F1レースの制覇、あのときの情熱は、今のH社には感じられません。
H社の社員全員に声をあげて聞きたい、何を目指してHという会社を選択したのですか、今のH社で良いのですか・・・
H社のスポーツカーNSX(初代NSX)
H社から20年以上前に開発され1990年から2006年まで発売されていた初代の国産スポーツカーNSXは、H社の技術の結晶として崇高な開発コンセプトの元に生産された、日本が世界に誇れるスーパー・カーのひとつです。

1990年に開発されたNSXにはターボチャージャーが搭載されていません。
ターボチャージャーが付かなかったことには、NSXの開発における至高な理由があります。
ターボチャージャーであれば、比較的簡単に馬力を上げることができるのに初代NSXには付けられなかったことに不思議に思わないでしょうか。
もちろん当時のH社にターボチャージャーの技術力がなかった訳ではありません。
当時のH社は、F1にエンジンを供給して大きな実績をもっていたので、ターボの技術は高かったと思います。
また、当時の他のスポーツカーを見ても、スポーツカーにターボチャージャーを搭載するのは当たり前で、各社のスポーツカーは、最高馬力と最高速を競い合っていました。
そのなかでH社初の国産スポーツカーといえるNSXにターボチャージャーを搭載しなかったことには、深い理由があるのです。H社は国産スポーツカーを開発にあたり、他社の優れたスポーツカーを研究してスポーツカーというものは何であるかということを、一から徹底的に見直して開発されました。
スポーツカーのスペックとして馬力や最高速度を上げるには、エンジンにターボを搭載することが大変有利になります。
他のスポーツカーには、間違いなくといって良いほどエンジンにターボが搭載されています。
しかし、初代のNSXにはエンジンにターボが搭載されていません。
馬力に関して言うと、当時の国内の規制、(自主規制かも知れません。)により、スポーツカーの最高馬力が280馬力に統一されていたので、280以上には出来なかったようです。
他のほとんどのスポーツカーのターボを搭載しているなか、新しく開発される初代のNSXにはターボを搭載しませんでした。
これにはH社の優秀な技術者たちの大きな意図がありました。
ターボを搭載することで、スポーツカーとして最高馬力や最高速を達成することは容易ですが、国産スポーツ・カーのNSXにはそのような低レベルの性能を向上のみを考えられたものではありません。
NSXにターボを搭載することで、スポーツカーとして最高馬力や最高速の達成は可能かも知れませんが、それだけでは新しく開発されるホンダの国産スポーツカーとしては十分ではありません。
本当の意味でスポーツカーというものを追求した結果にNSXが誕生したと思います。
エンジンにターボを搭載すると最高馬力が得やすいのですが、排気ガスを利用して空気を圧縮するターボチャージャーにはターボがかかるまでの時間のターボラグが発生してしまいます。
ターボラグがあるとアクセルを踏んでから車が加速し始めるまでの時間がかかるので、アクセルを踏んだ時のフーリングが悪くなります。
スポーツカーを生産する各社は、このターボラグをなるべく短くするようにとツインターボ(小型の2基のターボチャージャー)にすることでフィーリングを上げる為に努力をしていますが、完全にターボラグを無くすことは出来ません。
レースで使用するカーであれば、レーサーが対象になるので、少々扱いにくくてもターボを搭載して最高馬力と最高速をもったものが良いかも知れませんが、一般の人が一般の公道を走ることを考えるとスポーツカーといえども、公道での走る性能の追求を考えなければなりません。
一般の人が運転したとき、スポーツカーとしてのヒーリングというものを最も大切にしたのが、初代のNSXということになります。
アクセルを踏んだら、V6DOHC(V型6気筒ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)の気持ちの良いエンジンサウンドと共に機敏な加速を楽しめ、最高のフィーリングを約束してくれます。
このNSXの機敏なエンジンフィーリングは、大変気持ちがよく一般のユーザーにスポーツカーの楽しみを教えてくれるでしょう。
NSXの機敏なエンジンフィーリングは、ハイパワーのDOHCエンジンだけからではなく、車体の軽量化など徹底的な追及からも実現しています。
エンジンにパワーがあっても、車体が軽量でなければ良好なフィーリングを得ることは出来ません。
NSXは、新しくオールアルミ二ウム・モノコック・ボディを開発して軽量化を実現に成功しました。
レースカーにも使用されているタイヤと路面の接触が最適になる高性能なダブルウィッシュボーン式サスペンションを前後に採用しており、デザインや馬力だけでない本格的なスポーツカーとして考えられていることが分かります。
ハンドリングのヒーリングの追及も余念がなく、一級の追及がなされています。
スポーツカーは、バンドルを切ると素早く反応するのがスポーツカーらしい機敏な動きを楽しめるのですが、レース仕様のような機敏さを求めると一般の公道を走るのには変化が激しく運転が大変になります。
初代のNSXには一般の人が公道を走行することを考慮して、スポーツカーの要素を残しつつ運転のしやすさの絶妙なバランスを追求したハンドリングに仕上がっています。
NSXのスタイリッシュな美しいデザインのボディーにも、性能以外にもいろいろと考えられて綿密に考えられつくりこまれています。
スポーツカーでスタイリッシュなボディーの追求も大切な要素ですが、スタイリッシュを求めすぎると車高が低くなりすぎて実用的には向きません。
スーパー・カーとして有名なランボルギニー・カクンタックなどは、地面とシャーシとの間が非常に狭いので、僅かな段のあるファミリーレストランの駐車場に入れるにも斜めからゆっくりと入らないと、前部のスポイラーの下部とシャーシを擦ります。
NSXは、スポーツカーでありながら、デザインだけでなく一般市販車として実用に支障がないように考慮させている日本独自の非常に国産らしいスポーツカーに仕上がっています。
H社初の国産スポーツカーNSXのコンセプトは、ある意味小信号の質を追及しながら大信号に対応するような優れたオーディオアンプのコンセプトに似ているところがありますね。
スポーツカーの車高(地面とシャーシの距離)の問題は、日本のNSXのコンセプトの影響したのか、最近イタリア系のスポーツカーもNSXのように地面とシャーシの距離をとるようになってきています。
本当に良いものを生産すると、どの世界でも認められ、各メーカーが参考にするのだと思います。
初代のNSXには一般的に雑誌などでいわれていいる特徴だけでなく、見えない部分に多くの努力がつぎ込まれてると思います。
NSXにはホンダの技術の結晶として、生産されている日本の技術者の最高の誇りのある日本を代表する夢のあるスポーツカーだったと思います。

初代のNSXは、一般のユーザーにスポーツカーの楽しみを教えてくれます。
これは国産最高級スポーツカーを生産するのに、H社の自動車製造技術の結晶を導入してスポーツカーのフィーリングまで踏み込んだ崇高な開発コンセプトによって生産された世界に誇れる日本生産の最高級スポーツカーだったといえるでしょう。
H社の社初代のNSXにかける情熱や至高さは、現在では、あまり語られなくなってきているように感じられます。
初代のNSXはスポーツカーは、非常に高度な性能の追求と高度なスポーツカーとしてのフィーリングを追求した国産の最高のスポーツカーだったと思います。