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世界の求める『made in Japan』の製品がない日本企業
ある外国人が、外国で生産している日本のメーカーのオムツよりも、日本国内で生産しているオムツを購入することを好むという話を聞いたことがあります。
実際、私自身大型薬局で外国人が、日本製のオムツを買いあさっている姿を目撃しました。
日本政府が成長戦略で高度人材として受け入れた外国人たちが、日本製のオムツを自国に持ち帰り転売しているそうです。
なぜ、本国でも普通に販売されてるものを買わずに日本で販売されているものを好むのでしょうか。
外国人たちが、日本で生産されているものを好むのには必ず理由があります。
ほとんどの日本人や外国人は、日本で製造された品質の良い『made in Japan』の製品を購入したいと考えているからです。
日本で生産されたオムツですら、外国人が好んで求めるというのに、それが日本生産の電化製品などになると、もっと外国人たちが求めてくるだろうと思います。
それなのに日本の大手の企業は、日本で製品を生産しようとしません。
グローバルを推進した結果、日本の工業の空洞化がおこったので日本で生産が難しくなってしまったのが原因であります。
多くの外国人が日本で生産された高品質の製品を求めていても、日本の生産工場は既に海外に移転しているので、いまさら新たに日本で生産設備を整えることが出来ないからです。
原因はさて置き、消費者に求められているものを生産しない企業は、何れ多くの消費者から見放されてしまうのは時間の問題だと思います。
企業は、消費者に求められているものを生産することができなければ、衰退していくのは約束されています。
現在の日本企業の多くは、本当に消費者のことを考え抜いた、欲しくなるような製品を販売していないように見えます。
普及帯のオーディオ機器でも、真剣に開発している感じがなく、適当にラインナップを揃えているだけに感じられます。
それでは、消費者を満足させるような製品などできません。
日本で自社開発することで、納得できる品質の良い製品ができるものです。
現在の日本企業には多くの世界の人が求めるような、日本『made in Japan』品質の製品が少ないのは、本当に残念なことだと思います。
日本企業なのに日本で生産しない、あるいはできないという寂しい時代になりました。
日本国内で生産することに意味がある
日本企業の多くは、グローバルを推進することこそが、企業を発展させるように考えられています。
特に大手の企業では、グローバル化を考慮しないことは、ほとんどない状況です。
グローバルを推進が進むと、日本国内での開発・生産することを重視しなくなってしまいます。
日本企業が、日本国内での開発・生産することを重視しなくなると、国内で生産する技術力が著しく低下を招いてしまい、最終的に外国の生産工場がなければ、日本企業が成り立たなくなってしまうという状況に陥ります。
そのように外国の生産工場を頼りになるということは、ある意味、外国の生産工場という人質を取られていると変わりありません。
自社が、出資した海外の工場であるから問題はないと考えるのは早計でしょう。
日本国内で生産していれば、日本国内の法律で守られるのが普通ですが、海外では海外の法律に従う必要があり、外国政府の方針に従わなければなりません。
外国政府でも日本国内のように法律に従うだけで普通には問題は発生しないと思うかも知れませんが、いつ政府や地元の方針で日本企業にとって理不尽な要求を求めてくるか分かりません。
理不尽と思える要求は、日本企業の利益の全般を外国の工場に頼らなけれならなくなったときと見計らってやってきます。
裁判になったとしても、アウェイの裁判なので圧倒的に不利なのは覚悟しなければなりません。
問題を賄賂などで解決すると、それが弱みになり尾を引いて、言いなりにならなければなくなります。
例えば役員を推薦したり、機密情報を他社に流したり、会社のお金を流用したりと不正が頻繁になって行きます。
外国に工場をつくるということは、日本では考えられないぐらい、ありとあらゆる誘惑に迫られます。
考えられない理不尽な要求でも受け入れなければならなくなり、最後には日本企業は骨抜きにされてしまいます。
恐らくほとんどのグローバルを推進した企業は、大小関係なく理不尽な要求を受け入れているものだと思います。
企業に働いている人が不正するようになると、品質の良い製品など生産することなど出来ません。
外国で製品を生産するということは、安く生産できる以上に企業の根幹をなす技術情報が外国に漏れるリスクを考えなければなりません。
グローバルでは一時的に利益を上げることが可能でも、継続的に利益を上げることは大変難しいものなのです。
恐らくCEOになるような優秀な人は、このようなことは重々承知だと思います。
だから自身がCEOの時に多くの報酬を貰い、企業の限界を見て他企業に移り同じことを繰り返しているのだと思います。
グローバルを推進することで、最初のうちは大きな利益が上げられるのを利用して、自身がCEOの時代に上手く勝ち逃げをしてから、次のCEOに引き継げば完璧です。
そのようなことにならない為に、日本国内で生産することに大きな意味があります。
日本で生産していれば、法律に従っている限り理不尽な請求を受ける心配はありません。
日本で生産することのメリットは、理不尽な要求や情報漏れなどの不正が少ないなどだけではありません。
日本で生産することで、自社での研究・開発が進み、少なくとも日本の生産技術を向上させることが出来ます。
日本の生産技術を向上させることにより、他社が真似しにくい製品の開発や独創的な製品を開発が可能になることでしょう。
企業が独創的な製品が生産できると、価格競争に巻き込まれなくなるので継続的に利益を上げることが出来るようになります。
日本の国策として考えるなら、企業にグローバルに後押しするのではなく、日本の失われた20年を取り戻すことを考える必要があると思います。
日本で出来ることは全て日本で生産することが、最も重要です。
もし企業が、利益を追求を重視して合理性を求めてグローバルを推進していくと国や国家、国民という概念は必要なくなってしまいます。
賃金の安い国へ安い国へとハイエナのように移動することが、企業経営ということになります。
賃金と引き換えに安い国の土壌を汚し、賃金が高騰すると他の賃金の安い国へ移動するということが、決して優れた企業経営とは思えません。
そのようなことを知っていても、何も感じなく平気でいられる精神が普通になることは、人として退化したとしか言いようがありません。
現在、大きな企業に成長した日本企業には、先代の優れた日本型の経営方式があります。
もう一度、かつての日本型の経営方式の研究し、実施すべきだと思います。
政府が経済戦略をいうなら、時間がかかっても日本の部品生産を国内に戻す戦略をとるのが将来に向けての最大の国家戦略になることでしょう。
日本に部品工場が国内に戻れば、ベンチャー企業により新しく製造業を立ち上げやすくなり、経済発展を期待することができるので、日本の成長戦略として考慮して欲しいものです。
日本国内で生産することにこそに重要で、そこに大きな意味があるのです。
日本企業、日本政府は、日本国内で生産することの重要性をもっと理解して欲しいものです。

日本国内で生産する自動車メーカー
日本の自動車メーカーのなかで、毎年売り上げが伸び大変好調な企業が存在します。
日本国内でほとんど自動車を生産しつづけているSU社です。 (一部の車種は米国で生産しています。)
もともと中島飛行機という優秀な日本の戦闘機を生産していた企業が、戦後、戦闘機の生産が出来なくなり、自動車メーカーに育ったのがSU社です。
SU社は、日本国内で自動車を生産ですることに拘っていたのではなく、他の自動車メーカーがグローバルを推進しているときに グローバルに出遅れたために海外生産をしていません。
最近、この自動車メーカーのSU社が、大変好調すぎて悲鳴をあげているとききます。
SU社が好調なのは、SU社の自動車のほとんど全てを日本で生産しているからだと思います。
国内で研究・開発・生産ができると、企業の小回りがきくので、独自で斬新なアイデアを採用することが可能になり、日本生産だけの高品質な自動車を生産することができます。

SU社は、水平対抗ボクサー型エンジンという他の自動車メーカーにない独自のエンジンを開発しているのが特徴です。
このような特殊で個性的なエンジンを開発できるのは、日本国内で研究・開発・生産しているからだと思います。
他のグローバルを推進した自動車メーカーには出来ないような独自で個性的な自動車を提供できるのは、SU社しかないので多くの自動車ファンに人気があるのではないかと思います。
SU社には水平対抗ボクサー型エンジンを積んでいない車種も多くありますが、エンジンに関係なくSU社のデザインなど独自性のある個性が魅力になっています。
自動車のような高価な製品を購入するには、その自動車しか味わえない個性がないと所有した時の満足が得られません。
自動車を人やモノを運ぶだけと考えるなら、便利さだけで個性など必要ないかも知れませんが、乗用車を求めるものにとって便利さ以上に乗る喜びを求めてしまいます。
国内で設計・開発。生産しているSU社自動車には、他の自動車にない国内生産という安心と乗る喜びがあるのだと思います。
少々高価であっても、SU社自動車を所有したいというユーザーが増えたことで、SU社は好調を維持し続けているのだと思います。
偶然の産物かもしれませんが、SU社グローバルをしていないことが、SU社の自動車の魅力になっているように感じられます。
SU社の自動車の魅力を考えると、『made in Japan』であることは、本当に大切なことだといえるでしょう。
SU社の好悪は、日本で研究・開発・生産することの重要性を教えてくれます。
他の日本の企業もSU社から学ぶことは多いのではないかと思います。
かつてのSU社には申し訳ないですが、他の日本の自動車メーカーが日本国内で生産している時代のSU社の自動車にそれほど魅力を感じたことはありませんでした。
SU社の車はマイナー感があり、SU社の車を買ったら、ディーラーが少なくメンテナンスが大変だろうぐらいの感覚しかなかったからです。
しかし現在は、次に購入する自動車は、SU社の水平対抗ボクサー型エンジンの車しかないだろうと思っています。
ディーラーが、少ないなど気にしません。
私は、日本生産のSU社の個性的な自動車が欲しいからです。
30年たったSU社は、私にとって最も魅力のある自動車メーカーになってしまいました。
1つ心配なのはSU社が、好調なのを景気に一気にグローバル推進に向かうことです。
SU社が、グローバルを推進して、他の自動車メーカーと同じく海外に工場を造ると、自動車の研究・開発力が低下するので、これまでのような独自で個性的な自動車はなくなり、 魅力が半減するでしょう。
SU社には、このまま日本国内で研究・開発・生産を続けて欲しいと思っています。
また、SU社の筆頭株主が、グローバル企業のT自動車なので、今後、日本のSU社を海外進出させて、SU社の国内生産をかき乱さないとは限りませんが、SU社にはこのまま日本生産を続けていて欲しいと願いたいものです。