File No.62-6  『made in Japan』の意味(6) -コラム-

日本の製品の競争力が落ちた理由について解説しています。

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File No.62 / 06

日本の製品の競争力が落ちた理由

良く液晶テレビや、プラズマテレビなどの日本の製品は、世界の競争力に負けてしまったといわれます。

日本の製品が、国際競争力に負けてしまった根本的な理由は、日本の製造業がグローバルを推進したことことから始まっていると思います。

なぜなら日本の製造業が、グローバルを推進する為に日本の部品の生産工場までも海外へ移転しなければならなくなります。

これは、日本から部品を輸入していては海外で安価に生産することができないので、当たり前のことです。

しかし、この部品工場の移転は、日本の工業の品質を大きく低下させる原因になりました。

日本の家電メーカーは、テレビのディスプレイの高品質なパネルを国内で生産して、外国の企業などに品質で対抗しようと考えたのですが、外国の企業とでは価格に対抗できず上手くいきませんでした。

その後、日本の家電メーカーは、今後のパネルの製造を海外に頼るようになりました。

日本の家電メーカーが外国の企業に対抗できなかった理由は、価格以外のところにあります。

ディスプレイのパネルのみを日本国内で生産していたことが原因です。

どのように日本で高品質なパネルを製造できたとしても、最小単位の抵抗やコンデンサーの部品を海外生産のものを使用しなければならなく、抵抗やコンデンサーの品質がボトルネックになって、全体の高品質を保つことが出来ないからです。

たった1円単位の抵抗やコンデンサーの品質が、ボトルネックとなり、以前のような世界に誇れるような日本の高品質な製品が日本国内で生産することが出来なくなったのです。

高精度・高品質のディスプレイだけでは意味がないの写真
高精度・高品質のディスプレイだけでは意味がない

外国の人から日本のテレビ製品を見たときディスプレイパネルだけは品質が高いかも知れませんが、テレビ製品全体の品質を比べると日本製でなくても、そんなに変わらないので、安価な外国製品を選択しだだけだと考えられます。

日本製品が売れなくなった理由は、高いだけで品質は外国製品とほとんど変わらなくなったからです。

日本で全てを生産している時代は、安価で海外のどの製品よりも品質が良かったことが、『made in Japan』の製品の信頼につながり海外でも人気がありました。

しかし、どのように日本で生産しても、海外で生産された部品の品質の性能に左右されるので、日本国内での生産した製品といえども、かつてのような日本製品のように品質を上げることが出来ません。

また、現在でも僅かながら日本で部品を生産しているメーカーから部品を仕入れて、日本で製品を組み立てて、高品質な製品を製作することは可能ですが、部品の生産量の少なさから高価になりすぎるので、今度は商売になりません。

日本の製品の競争力が落ちた最大の理由は、日本で製品の全てを生産できなくなったことが最大の理由だと思います。

これは、日本が世界に誇っている日本のアニメーションの世界でもいえると思います。

最近では、日本のアニメーションに使うセル画などを海外の製作するようになりました。

アニメーションを安価で製作できるからとの理由だと思います。

しかし、安価で製作できる理由でアニメーションを海外で製作するということは、日本の製造業がグローバルを推進して、日本の生産技術力が低下して、最終的に身売り状態になったことに似ています。

アニメーションを海外で製作させると安価で製作できるので、一見合理的に見えるかも知れません。

しかし、日本国内でアニメーションを製作しないと、日本のアニメーションの製作技術が大きく低下します。

日本のアニメーションの製作技術が低下すると、今度はアニメーションを国内で製作することが難しくなり、アニメーション製作するのが海外の企業に頼らなければ製作が難しくなってしまいます。

まさに日本の製造業が衰退した同じルートへと、日本のアニメーションが向かっているように感じます。

物を安価に生産することばかりに拘ると、量だけが頼りになり、全体の質が低下します。

全体の質が低下すれば、日本のアニメーション自体が不景気に突入してしまいます。

日本でアニメーションを製作していなければ、何れ日本の製造業がたどったように日本のアニメーションも海外の企業の身売りが約束されているでしょう。

アニメーションは、日本で製作しなければならないの写真
アニメーションは、日本で製作しなければならない

日本国内だけでアニメーションを製作していれば、日本国内での技術が構築でき、世界に負けない競争力が樹立して継続的に安定することが出来たので残念なことです。

このような日本企業の衰退を考えていくと日本企業のトップの人たちは、日本企業が衰退することを望んでグローバルを推進したのではないかと思えてきます。

日本の工業を衰退させることで、日本を衰退させるのが本当の目的だったかも知れません。

そう考えても不思議ではありません。

なぜなら、私たちは日本で生産を続けることで、自然に日本工業が衰退していったのではないからです。

日本の大手の企業は、1990年以降から日本の工場を強制的に外国に工場を移転するグローバル政策を実行しました。

1990年のまでの日本の工場では、ありとあらゆるものが生産できる状態であり、どのような製品でも国内で生産することが可能でした。

日本で何でも生産できることこそ、日本の最大の成長戦略で未来に向けて継続的に豊かになる方法だったと思います。

日本の工場を閉鎖してまで海外に移動することは、日本の主要産業だっただけに日本の衰退は約束されていたということです。

喜んで衰退する道を選んで舵を取ろうとする政府の政策、企業の方針が、理解することが出来ません。

グローバル推進は、大きなリスクをともなう

日本政府・日本の大企業は、グローバルを推進すれば、全てが上手く行き、グローバルを推進がまるで天国のように語られています。

グローバル化は、日本で生産しているよりも大きなリスクを負うことを、ほとんどの大手の企業の社長は知りません。

あるいは大きなリスクがあること知っていても、社長自身が豊かになれば、そんなことは関係ないのかも知れません。

企業をグローバル化すると、途上国の安価な人件費を利用して製品生産ができるということは一見、大きな利益を上げることができるように見えます。

しかし、外国政府の情勢や現地の人の考えが日本とは大きく異なるので、そう簡単にはいきません。

日本企業がグローバル化によって外国に工場を建設することを見て、外国の政府、外国の人たちは、無知な日本企業が『鴨がネギしょって来た』くらいに思っているのだと思います。

日本企業のグローバルによる海外への投資は、日本の民謡にあるように

『行きはよいよい 帰りはこわい』

に例えることができます。

最初のうちは、海外に進出するにあたり、工場を誘致する土地を安く提供してくれたり、税金を負けてくれたりして、非常に素晴らしい条件で工場を誘致することに協力してくれます。

しかし、ほぼ全て工場の移転が終わり、企業の大半の利益が外国の工場だよりになったときを見計らって、攻撃に転じます。

企業攻撃は、正当な理由など必要なく、公害問題や人権問題、また土地代を大幅に上げるなどのことを要求してきます。

もちろん外国の政府ぐるみで税金を上げるなど方法はいくらでもあります。

海外では、日本の常識は全く通用しません。

全く正当な理由もない奇襲をお見舞いされたときに、初めて海外の投資の難しさを知ります。

状況を知ったときには、既に遅く、投資した全てを放棄して撤退に迫られます。

グローバルによって、どれだけの日本の中小企業が、海外に造った工場などの資産を放棄して無一文で逃げて帰ってきたことでしょう。

もちろん外国から引き上げることも簡単ではなく、数年以上の従業員の給料保障などの条件を極端に高額で請求してきたりします。

まさに、外国での投資とは日本民謡にあるような

『行きはよいよい 帰りはこわい』

そのものです。

このような日本企業が、グローバルによっての不利益を蒙っていても、日本の政界の内通者やメディアの工作員たちが、一切報道せずにグローバル推進こそが経済戦略のように報道しているので、一般の人がグローバル政策の本当の難しさを知ることができないのが日本の現状だと思います。

多くの日本人や日本企業は、世界での商売の本当の難しさと恐ろしさを全く認識していません。

ある国では自己のコントロール化に置くためには、賄賂から風俗的な接待、殺害も日常的に普通に行われます。

日本の歴代の多くの総理大臣は、海外のトラップにはまり国の不利益になる行動を余儀なくされました。

現地で働いている弱みを握られた日本人たちは、日本企業の不利益になることでも活動しなければならなくなります。

企業をグローバルで活動させることは、大きなリスクをともなうことを忘れてはなりません。

日本で製品をすべて生産することが出来れば、以上にあげたようなようなグローバルのおけるリスクは大幅に解消できるでしょう。

日本生産というグローバル

現在は、インターネットで世界が繋がっており、情報的には既にグローバルというものが確立しています。

また、世界各国にインターネット通販サイトがり、amazonなどの通販サイトでは、商品の在庫を自社の倉庫に置いて販売してくれるサービスも実施しています。

かつては、日本のスピーカーを販売するにも、海外の地元の卸業者や販売店との折り合いを付けなければならなく、サービスやメンテナンスなどのために一定割合で支店を設置する必要があり、それらの費用も膨大にかかっていたので、海外に大きく展開している日本企業以外は、日本で大変優秀なスピーカーを生産していて海外で販売できそうな製品を持っていたとしても、海外で販売することがなかなか難しかったものです。

しかし、現在はamazonのような通販会社が世界にあり、そのamazonの倉庫に在庫が置けるようになったので、製品さえあれば最小限のサービス・メンテナンスの設置すれば、製品を販売することが容易になりました。

このような現在のシステムを利用しないのは、大変もったいないことです。

日本生産の高品質な製品があれば海外に販売できるの写真
日本生産の高品質な製品があれば海外に販売できる

日本で生産した優れた品質の製品を海外の通販サイトを利用して、もっと販売を展開していけば良いのではないでしょうか。

日本で高品位な製品を生産することができれば、既にグローバルに展開できる時代になっているのです。

外国の人も、かつてのような日本の高品質の製品を求めていると思います。

現在では日本で生産したくても、既に多くの生産工場を海外に移転してしまっているために日本で生産することが大変難しくなってしまいました。

日本の政府及び大手の製造業は、目先の利益の追求だけでなく、将来継続的に繋がる利益を上げることを考えた政策を展開して欲しいものです。

グローバルによって豊かになっても、人の心は貧しくなる つづく


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