File No.62 / 08
日本人の性格を考えない成長戦略などない
昔から日本は、ものつくりが上手いと言われていました。
最初のアイデアは海外であっても、最終的に高品質・高性能な製品を登場させて世界を驚かすことが多かったと思います。
時計、カメラ、ビデオなど、もともとは海外のアイデアでしたが、最終的には日本の技術の向上で、世界に日本の製品の高品質や高性能が認められるようになりました。
日本人は、斬新なアイデアで新しい製品を登場させることよりも、コツコツと今ある製品に欠けている部分をコツコツを改良していくタイプだと思います。
日本人全体がそうであるとは言いませんが、多くの日本人の性格は、外国に比べ大人しいように感じられます。
この日本人が大人しいというのは、外面的に派手なパフォーマンスをすることよりも、表面的には大人しく、心の中で闘志を燃やす性格ということです。
また日本人は、どちらかというと商売が下手な民族で、自身の利益の為であるなら相手方がどのような不利益になっても関係なく強引に商売することはできないという性格を持っています。
非常に思いやりのある日本の精神で、世界にも誇るべきことなのですが、世界の商売の世界では通用しません。
日本人が強引でない控えめの性格の故に海外の商売人に対抗することは難しく、商売ではほとんど負けてしまいます。
日本が商売を上手くする方法は、海外ではない日本独自の品質のクオリティの高いを製品を販売することで、商売の難しさをカバーすることです。
実際、日本が最も経済成長した時代でも商売的には上手くありませんでしたが、日本の高品質の製品が世界で求められる製品として需要を生みました。
数々の日本製品が外国政府の輸入手続などの嫌がらせを受けても、外国の消費者は日本の製品を求めたので、日本企業の商売が上手く成り立っていました。
世界の消費者から求められる高品質な製品を生産すると、大変商売が楽になるということです。
これは個人的に考えても理解できると思います。
欲しいものなら、少々高くても買ってしまうという心理です。
品質の良くない製品を好んで購入する人は特別な存在として考えないことにしますが、人は普通、高品質な製品を好むのは間違いないことだと思います。
日本人の性格からして、海外に打って出るということは、品質の良い製品を生産して海外に売り出すということしか方法がありません。
いや日本人の商売は、品質の良い製品を海外に出すことしか出来ないといった方が良いかも知れません。
なぜなら、日本人の性格では、低品質な製品や詐欺曲がりの製品を、素晴らしい製品のようにアピールして海外に販売しまくって儲けることは、心のどこかに罪悪感をもってしまうので、なかなかできることではありません。
しかし、外国の商売の常識は異なります。
外国では、どのような低品質な製品であっても、売ったもの勝ちというような考えがあり、何かあれば裁判で戦えば良いぐらいしか思っていなく、最終的には適当な理由で逃げれば良いぐらいにしか考えていません。
日本人からして相当悪どいやり方に感じられても、外国ではビジネスだとしか考えないので、もちろん罪悪感など微塵にも持っていません。
このような日本人と外国人の性格の違いを無視して、成長戦略などありえません。
日本政府の政策は、日本人の性格を全く理解(見えていない)していないように感じられます。
いつも口を開けば成長戦略として簡単にグローバルがどうのこうの、外国人が必要、移民推進など、言いますが日本人の性格を全く無視した考えだと思います。
いろいろな成長戦略を言う前に、日本人に大きなストレスを与えない政策をしなければなりません。
僅かなお金を求めて、日本人に大きなストレスを背負い込ませることは、決して優れた政策とはいえません。
政策は、常に長期的に考えていく必要があります。
最近、政府の成長戦略を見るだけで、大きなストレスになってしまいます。
日本人の性格を考慮した政策は、全く皆無で日本人を豊かにするような考えは全く入っていないのに、外国人を優遇することだけが政策になっているからです。
日本人のおとなしい性格を考えれば、何でも国内でコツコツと生産して、高品質なものを海外に輸出することが日本人の性格には向いています。
日本国内で農産物や工業など何でも生産できるようにすることこそが、最大の国家戦略であり成長戦略であると思います。
日本で生産したものを海外にグロバールに輸出して展開して進めていくことが、豊かな日本を取り戻す成長戦略だと確信しています。
次の世代の人に引き継ぐ努力をしない企業は、本当の意味で仕事ではない。
どうような職についても、何らかの形で日本の次の世代に仕事を引き継げるようにしない仕事は、本当の意味での仕事とはいえません。
時代の流れで継続できない仕事は、仕方がない面もあると思いますが、利益優先で安易に海外生産に切り替えることは、次に引き継ぐ世代のことを全く考えないで、子供の世代のことは考えずに自身の人生のみを重視していると思われます。
経済状況により国内の工場を閉鎖して海外に工場を建設するということは、国内に住んでいる子供の未来のことを全く考えていないということです。
ある程度、企業の経営にグローバルが必要かも知れませんが、国内で働いている人たちのことを全く考えないグローバルの推進は、素晴らしい企業経営とはいえません。
企業の優れた経営は、働いている人の幸せを考えないといけないと思います。
働いている人が長く働ける環境こそが、企業の優れた経営です。
労働者を安価で雇うなど、誰でも考えられるような低レベルの考えをやめ、技術革新で労働者にどれだけ多くの賃金を払うことを競わなければなりません。
労働者を豊かにして、自社の製品を購入してもらうぐらいの感性が必要です。
グローバル経営が主流でも、新しく人を幸福にする日本型経営をつくれば良いと思います。
現実社会は甘くなく理想論と思われるかも知れませんが、理想や夢を求めなければ何も始まりません。
人を豊かにする仕事をして、次の世代の人に引き継ぐようにする必要があります。
次の世代の人に引き継ぐ努力をしない企業は、本当の意味で仕事ではないと思います。
時代により需要が少なくなった製品を、販売を継続するようにして、雇用を残していくことも良い方法だと思います。
かつて、日本では真空管の生産が世界一でしたが、現在は日本ではほとんど生産されていません。 (現在、日本で生産されている真空管は、真空管を生産していたメーカーから引き継いだものではなく、世界の真空管の需要から新しく生産されたものなので非常の高価な真空管になります。)
世界一生産されていた真空管が、日本で全く引き継がれなかったことは、大変もったいないことです。
真空管は、現在でもギターアンプに使用されているし、高級オーディオアンプでは品質の良い日本生産の真空管を求められています。
真空管以外でも大きな能動素子なども、日本生産の品質の良いものがあれば本当に助かります。
世界には、需要が下がったとしても必要なものが存在するということです。
需要が下がったとしても必要であるものは、日本国内に生産工場を残す努力をした方が良いのではないでしょうか。
日本が経済的に絶頂期の時の日本の工場の規模をそのまま継続するというのではなく、縮小してでも何十年の研究したオーディオ製品など、別会社や子会社にして継続していた方が良かったのではないかと思います。
これまで、日本は真空管やスピーカーユニットなど世界一の生産量を誇っていた時代があったのですが、真空管は、つい最近まで1本も作られていませんでした。
もし規模を縮小してでも、真空管やスピーカーユニットを日本で生産していたら、少しでも日本の雇用に貢献できたことでしょう。
全体から見ると僅かな雇用といえるかもしれませんが、真空管やスピーカーユニットを日本で生産していると、それらを利用した新しい製品を開発が可能になります。
日本生産の高品位な真空管やオーディオ用のコンプメンタリのトランジスター、FETがあれば、優れたオーディオの開発も可能になることでしょう。
コンピューターやテレビやアイフォーンには高品位な真空管やオーディオ用のコンプメンタリのトランジスター、FETなどは必要なくなっているかも知れませんが、オーディオやプロの音楽製作の現場では未だに重宝されます。
最小単位である能動素子は、サイズが大きくて不便な面があるのですが、大きな電流を扱えたり、ディスクリート構成で使用することで製品の性能を突き詰めることが可能です。
特にオーディオやギターアンプのような用途を求めるだけでなく、人の感性である音を追求する製品には必要不可欠なものです。
日本で素晴らしいアイデアを持ったベンチャー企業を立ち上げようとしても、国内生産の部品が調達することが出来なかったり、調達資金が膨大なお金がかかるとなると、ベンチャー企業を立ち上げることすら出来なくなってしまいます。
ベンチャー企業に(大きな資金)大掛かりな機械装置がなくても、小さな工場レベルで立ち上げることが可能になれば、日本で多くの優れたアイデアのベンチャー企業が生まれるのではないかと思います。
確かに現在でも、豊富な資金さえあれば日本でものづくりは可能ですが、費用対効果を考えると起業することは難しくなります。
例えば、新しいアイデアのスピーカーを生産する企業を立ち上げようと考えたとして、スピーカーのユニットのアルミニウムダイギャストフレームを現在製作できそうな国内の企業に発注して見積ってもらうと、発注元の企業は、一から金型から製作しなければならならないために、フレーム1つだけで数百万円から一千万円以上の見積という回答になったら、もはやベンチャービジネスを起業する気持ちにもなりません。
それだけでなく、現在国内に残っている企業で、アイデアを形にできる実力のある企業は、大手の企業の仕事で忙しく、小口の仕事は嫌がられます。
そのような企業に無理に見積もってもらっても、異常な高額の見積もりが帰ってくるのが落ちでしょう。
このような現在の日本状況こそが、今の日本にベンチャービジネスをしにくくしているように思います。
大手企業の製品が継続的な需要あるのに、販売が少なくなってしまって生産を止めるとき、日本の将来のことを考えて、海外に放り出すのではなく、何とかして日本に残す努力をして欲しいものです。
日本のメーカーのライバル企業と共同で、需要があるものは生産規模を大幅に縮小して子会社にするなどして日本国内に残す方が絶対に将来役立つと思います。
縮小した子会社には、企業で開発にかかわっていたOBなどに活躍してもらえば、雇用問題にも少し貢献することになります。
想像して欲しいのですが、規模が小さくても日本にオーディオ機器を1980年代のように製作できる工場が残っていたら、今、大手の企業は本当に助かったのではないかと思います。

アナログ的な要素をもっている製品は、末代にわたって生産していくことができるので、何とかして日本国内に残す努力をするのが、本当の意味での日本の成長戦略ではないかと思います。
日本の子孫が少しでも豊かになってもらうために、仕事を残していくことが本当の意味での仕事ではないでしょうか。
政府が成長戦略をいうなら、海外にばら撒き政策するのではなく、このような小さなことからコツコツと日本の中に仕事できる環境を整えていくことが必要だと思います。
国の予算を使用してでも、日本で身になる仕事ができる環境を子孫に残していくことが重要です。
このようなことを言うと現実は甘くなく、理想論や夢物語のように思われるかも知れません。
しかし、ものごとに理想や夢を持たなければ、絶対に良い方向に向かうことはありません。
現在の状況では現実的に達成できないことが問題であるのではありません。
将来に対しての理想や夢を諦め、それが普通になっていくことこそが最も悲惨なことだと思います。
例えば電機機器メーカーに勤めて、
『人々が喜ぶ良い製品を製作したい』
『少しでも品質の良い製品を販売したい』
という気持ちがなくなってしまい現状に何も感じなくなったとき、永遠に理想や夢は幻になってしまいます。
今は出来なくても、将来は必ずもう一度自身で手で日本で製品を製作したいという気持ちを持ち続けることに価値があり、理想や夢を諦めず求め続けることで、何れ達成することが可能になると思います。
たとえ自分の世代では達成できなくても、次の世代が達成できれば、理想や夢を達成できたことになります。
生きていく上で理想や夢を求めなくなると、恐らく何も達成することは出来ないでしょう。
人が理想や夢を求めなくなったとき、将来への希望もなくなり全てが終わっているように思います。